幽霊学級
そう思ったとき、父親の後方、開け放たれたドアの向こうの部屋に小さくうずくまっている女の子の姿を見つけた。
小学校3年生くらいの少女はランドセルを抱きしめるようにしてうずくまり、こちらを見ている。
あれがカンナちゃん!?
「面白い客が来たもんだなぁ」
父親がニヤニヤと笑いながら大股で近づいてくる。
大柄が父親が歩くたびに左右に積み重ねられていたゴミの山が崩れ落ちる。
ナイロン袋の中から汁の入った容器が廊下へ落下しても、誰も気にする様子はなかった。
ずんずん近づいてくる父親に僕はチラリと後方のドアへ視線を向ける。
今ならまだ玄関ドアから逃げることができる。
でも……。
一瞬見えたカンナちゃんの姿が脳裏から離れなかった。
自分の家だというのに怯えきった顔をして、助けてほしそうにこちらを見ていた。
あのままあの子をおいていくわけにはいかない。
「まぁ、ちょっと上がっていけよ」
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