白雪姫は、もう目を覚さない
“お願いだから、これ以上迷惑かけないで“

そう母に言われて、俺は今ここにいる。

渋々渡されたのは、地域貢献活動とかいう紙切れ。
内容は、ボランティア。
場所は、親父の病院。

……本気で、ふざけてんのかと思った。

「蓮、お願い。これくらいしか、あなたにできることないんだから」

母は、悲しそうな顔をして言った。

でも、その目はずっと俺を見てなかった。

「……お願い」って言いながら、
俺が断る余地なんか、最初からなかったんだろ。

そう思いながら、俺は朝食も食わずに家を出た。
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