白雪姫は、もう目を覚さない

その少女が描いていたのは、空だった。
でもただの空じゃない。

鮮やかな青に、白い雲。
光を反射するような空気感まであって、
どこにもこんな空なんて、今は見えないのに、
それを、彼女は迷いなく描いていた。

「……なに、あれ」
思わず声に出そうになって、慌てて飲み込んだ。
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