大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】
「ユフィーリオはどうかしら。ここ数日体調不良で静養しているって聞くけど、同じ建物にいても姿も見せないし、なんだか不自然よね。
もしかしたら、セルファと喧嘩でもしてるのかしら」
案外鋭いティアラである。
そして、ちょっと顔が嬉しそうだ。
「今までもユフィーリオ様が体調崩されたことはあったの?」
「私が来てからは初めてだし、多分ユフィーリオがセルファと結婚してからも初めてだと思うわ。まさか、妊娠してたりするのかしら…」
ティアラの目が冷たく光る。
ミトはそれに全く気付かずに言った。
「そう?でも、妊娠したからって別邸に篭る理由はないよね。それって逆に不自然というか」
「まぁ、確かにね」
ミトの意見に納得するティアラ。
「どちらにしても、体調不良の中、セルファが側室を王宮に呼び出したなんて聞いたら、心穏やかではないでしょうね」
「ティアラ、私をいじめたいの?」
「あんまりミトが危機感ないから教えてあげてるのよ」
「はぁ…」
ミトは深くため息をついた。
「ま、女の嫉妬は恐いって心にとめておくことね」
ティアラは他人事だ。
「わかった」
ミトはうなだれながら頷くのだった。