大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

第33話 正妻ユフィーリオ

ユフィーリオは別邸の自室でセルファが来るのを待っていた。
今夜は自分の日である。

昨晩セルファが側室のミトを王宮に呼び出した話は、すでに耳に入っている。
ユフィーリオは今まで感じたことのない強いショックを受けた。

(どういうことなの?なぜ、側室を特別扱いするの?)

混乱して思考がまとまらなくなった。
とにかく、今夜セルファが来たら追求するしかない。
頭の片隅で、それはしてはいけないと冷静な自分が訴えている。
それでも、ユフィーリオは我慢できなかった。

セルファは何時に来るだろうか。
側室の部屋に来るのは、大抵21時から22時の間だということを、ここに滞在して初めて知った。
不公平さを出さないためだろうか、自分の日もセルファはこの時間にやってくる。
ユフィーリオは何度も時計を見た。今は20時を過ぎたところだ。
時間が過ぎるのがとても遅く感じた。

結局セルファが来たのは、22時になる直前だった。
ノックされたドアに飛びつくように、ユフィーリオはセルファを迎えた。

「会いたかったよ、ユフィ」

ユフィーリオは「私も」と言おうとして、その前にセルファに抱きしめられてしまう。

そのまま二人ベッドに倒れこんだ。

「セルファ、私聞きたいことが…」

キスの途中でセルファに話しかけようとするが、すぐに唇をふさがれてしまう。
今日のセルファは随分と情熱的だった。

ミトついて聞きたいのに、他にもいろいろな話をしたいのに、長い深いキスに、ユフィーリオは何も考えられなくなった。
ようやく唇が離れ、ユフィーリオは息を乱しながらセルファを見つめた。
すると、思いもよらないことをセルファが口にする。
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