悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
1週間、緊張続きの日々を過ごしていた私にとって、こんなにも穏やかで、のんびりとした時間を過ごせたのは本当に久しぶりだった。
やっと得た休息に緊張の糸が切れたかのようにどうしても力が抜けてしまう。
そんな私にふわふわのソファと昼下がりの暖かさは毒だ。
寝てください、と言っているようなものだろう。
それに最高級のスパを受け、最高級の肉料理を楽しんだ後だ。
眠たくなるに決まっている。
瞼が何度も何度も下がり、視界がゆらゆらと揺らぐ。
…もう限界が近い。
「それでステラは…ステラ?」
「…ふぁい」
「ふぁい…?」
ロイが何故かおかしそうに私を見ている気がする。
だが、眠たすぎてロイの正しい姿を認識できない。