悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
ここはどこ!?
状況を確認する為に、キョロキョロと周りを見渡せば、先ほどまでロイといた高級ホテルの客室と全く同じものたちが目に入る。
一瞬だけ、「よく似た部屋だなぁ」と寝ぼけ眼に思っていたが、よく見るとここは先ほどまでいたあの客室だった。
そしてどうやら私はいつの間にか、あのふわっふわのソファの上から立派なベッドの上へと移動し、さらに布団までご丁寧にかけられて、寝ていたようだった。
どうりで全部が全部ふわっふわな訳だ。
…て、納得している場合ではないぞ。
寝る前の私の最後の記憶では、窓の外の空はまだ全然明るく、夕方にさえなっていなかった。
私がどれほど寝てしまったのかわからないが、あの苦しさに襲われていないことからまだ夜は来ていないのだろう。
時間を何とか把握する為に、今度は窓の外へと視線を向ける。
すると私の視界にもうオレンジ色に染まってしまった空が入ってきた。
太陽が沈み始めている…つまり、夜はもうすぐそこまで来ているのだ。
このままではまずい。
早ければ、あと数十分もしないうちに本来の姿に戻ってしまう。
たった数秒でそう判断した私は慌ててこの部屋から出る為に、ベッドから飛び降りると、ソファに座って本を読んでいたロイと目が合った。