悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「僕にも同じようにして欲しいってずっと思っていたんだよ。だから今、こうして〝ロイ〟って呼んでくれたことが何よりも嬉しいんだ」
「…はぁ」
ふわりと笑うロイに思わず間の抜けた返事を返してしまう。
皇太子様の考えはよくわからない。
「…ロイ様、今日はありがとうございました」
ロイの考えはよくわからなかったが、私はとりあえずここから離れる為に、今日のお礼を口にする。
「それでは私はこれで」
そして自分の鞄を見つけると、それを手に取り、さっさとこの部屋を後にしようとした。
…したのだが。
「待って」
それはロイの一声によって止められてしまった。