悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





「…ステラ、僕は意地悪を言いたい訳ではないんだ。ただ君にきちんと休んで欲しいだけなんだよ」



黙ってしまった私にロイが困ったように笑っている。
私の不満が伝わっているのだろう。



「…1日とはいつまでですか」



もうロイの命令からは逃れられないと思い、私は窺うようにロイを見た。



「1日は1日だよ。明日の昼頃までかな」



そんな私をロイが優しく見つめる。

明日の昼頃…。
つまりこのままでは、やはりロイと一晩を過ごすことになるのか。



「…わかりました。ですが一つお願いがあります」

「何?」

「ロイ様と私の部屋を別々にしてください」

「何故?」

「婚約もしていない男女が同じ部屋で一晩過ごすことは決して許されないことだからです」

「え?君と僕が?」



淡々とお願いをする私をロイが目を丸くして見つめる。
そして数秒後、状況を理解したロイは珍しく大きな声で笑い出した。




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