悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「…ステラ!」
さすがにもう誤魔化せず、慌てた様子でロイがこの部屋の扉を開ける。
「え…リタ…?」
そしてロイは私の姿を見て、目を大きく見開いた。
私の姿がロイの知っている12歳のステラではなく、19歳のステラになっていたからだ。
しかもロイは何故かそんな私を〝リタ〟と呼んだ。
どこをどう見れば、私をリタと見間違えてしまうのか全くわからない。
私は口から血を垂らしながらも、そんなロイを困惑の表情で見つめた。
先ほどまで保護していた子どもの部屋に血塗れの知らない女がおり、その保護していた子どもの姿がない。
今の状況だけ見ると、血塗れの女である私は確実に不審者…いや、保護していた子どもに危害を加えた犯人にしか見えないはずだ。
説明の余地はない。
今すぐ逃げなければ。
逃走ルートを確認する為に、まずは扉の方へと視線を向けたが、そこには当然だが、こちらを見て、呆然と立ち尽くすロイがいた。
扉からの逃走は無理だ。