悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「お、お久しぶりです」
そんな静寂の中、聞き覚えのある皮肉げな声が私の耳へと届く。
こ、この声は…。
声の主を確認しようと、ゆっくりと顔を上げると、そこには暗い緑の肩まである髪をなびかせ、焦茶の瞳で私を見つめるキースの姿があった。
「リタお嬢様…いえ、ニセモノだったリタお嬢様」
キースが苦手だと言っていた笑顔を作り、私に向ける。
キースの不気味な笑顔を見て、私は安堵した。
やっと、キースの元まで辿り着けた、と。