悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜




「お、お久しぶりです」



そんな静寂の中、聞き覚えのある皮肉げな声が私の耳へと届く。

こ、この声は…。

声の主を確認しようと、ゆっくりと顔を上げると、そこには暗い緑の肩まである髪をなびかせ、焦茶の瞳で私を見つめるキースの姿があった。



「リタお嬢様…いえ、ニセモノだったリタお嬢様」



キースが苦手だと言っていた笑顔を作り、私に向ける。
キースの不気味な笑顔を見て、私は安堵した。

やっと、キースの元まで辿り着けた、と。




< 194 / 313 >

この作品をシェア

pagetop