悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜




「リタ様は本当にお美しく…」

「あら?それは先ほども聞いたわ。まさか同じことを私に言うつもり?」

「いえ!とんでもございません!」

「じゃあ早く続きを言いなさい」



とうとうリタへの褒め言葉が尽きたメイドの言葉にすぐさま反応し、冷たい笑顔でメイドを見つめる。

いくら絶世の美女と言われても言葉が尽きない訳なんてないのに何と哀れなことか。

リタを満足させられなければこのメイドはクビだろう。



「リタ、準備はできたかい?」



哀れに思いながらメイドの次の言葉を待っているとこの部屋に颯爽と皇太子ロイが現れた。



「ロイ様!」



先程の冷たい空気はどこへやら。
私は心底嬉しそうに笑い、ロイの方へと視線を向ける。

こちらに向かってやってくる美青年こそがロイ・ミラディア(20)だ。

ブロンドの少し長めのサラサラの髪から覗く顔は大変整っており、まるで天使のように美しく、儚い印象だ。
こちらを優しく見つめるルビー色の瞳こそ、皇族である証で、皇族は皆、ロイのように美しいルビー色の瞳をしていた。

リタはロイに恋をしていた。



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