悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「僕のリタ、とても美しいね」
「…ありがとうございます」
私の髪を手に取り、優しくキスを落としたロイを見て私は頬を赤く染める。
ロイは優しく、そして甘い。
女性なら誰もが憧れる王子様のような男だ。
いや実際皇子さまなんだけど。
先程の冷たい空気からロイにより明るい…いや甘酸っぱい空気に変わったことにより、メイドたちが安堵したような表情を浮かべている。
よかったね、メイドさん。
リタはアナタたちなんて忘れてロイ様に夢中ですよー。
「さて準備もできたようだし、一緒に婚約式の会場へ行こうか。僕の愛しの婚約者様」
「はい、ロイ様」
ふわりと甘い笑みを浮かべるロイに手を引かれ私は花のように愛らしく笑い歩き始めた。