冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
なぜ俺の部屋に……? 仕事の用件なら休憩時間でなく、勤務時間内に堂々と訪れればいいはずなのに。
怪訝に思った俺は、とっさに近くにあった観葉植物の陰に身を隠す。すると、権藤検事正に続いて舞鶴もドアから顔を出した。
「面倒かけてすまないね。彼が見合いの話にうんと言ってくれれば、私の派閥に引きこんで操ることができたのに……急に婚約とは」
「神馬検事が本気でひとりの女性に心奪われるとは考えにくいので、おそらくなにか理由があるのだと思います。お相手について、私の方でも探ってみます」
「ありがとう。しかし、あの男はやけに勘がいい。くれぐれも気取られないよう頼むよ」
「はい、十分注意します」
舞鶴は俺の行動を監視して検事正に報告していたのか……。見合いを通じて検事正が俺を自分の派閥に引き込もうとしていたことも察せていなかった。
彼が過去に担当した事件を嗅ぎまわっているのを悟られている? 舞鶴が彼の手先だったなら、あり得なくもない。
俺の婚約者が村雨奏二の娘だと知ったら、検事正はどう出るだろう。琴里に不利益がないように振舞わなくては。
自分のパートナーである立会事務官を警戒しなくてはならないとは予想外だが、真実を追い求めることも、琴里を守ることも必ず両立してみせる……。
俺は心に固く誓うと、ふたりの姿がそれぞれ見えなくなったのを確認してから物陰を出た。