冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「もうほとんど完成しているので大丈夫です。ゆっくりなさっててください」
遠慮したようにそう言われ、作業台を見る。色どりがきれいなサラダがガラスの器にふたりぶん。コンロの鍋には、トマトと肉を煮込んだ料理が入っていた。普段から調理の仕事に携わっているだけあって、どちらも美味しそうだ。
買い物の費用については、昨日のうちに適当な額を電子マネーで彼女に送金してある。
「そうか。ありがとう。……琴里」
「はい」
「昨夜の発言を謝らせてほしい。突然あんなことを言われて、きみは怖かったと思う。本当にすまなかった」
まっすぐに彼女の目を見つめて言い、それから頭を下げる。
「いえっ、頭を上げてください! 私の方こそ配慮が足りなかったです……! 怖くもなかったですから!」
俺を許すような彼女の発言に、救われた思いがする。しかし、強がっているだけという可能性も否定はできない。
「でも、食堂で俺を避けただろう? 顔も見たくないほどショックだったんじゃないのか?」
「ち、違います! あれは……」
「あれは?」
「まともに目を見たら……心臓、破裂しちゃいそうだったから」
琴里が伏し目がちに、小声でごにょごにょと説明する。意外過ぎる告白にこちらも不意を突かれ、じわじわと顔が熱くなった。
鈍感な彼女がここまで言うということは、俺に心を開き始めてくれたのだろうか。もしそうなら、その隙を逃したくない。