冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

 やましい気持ちが顔を出そうとするのを、必死でごまかしながら答えた。

「別にひとつじゃなくても構わない。前に言っただろ、きみはもっとワガママになるべきだって」
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて言いますね」

 俺が頷くと、琴里は緊張したように小さく息を吸った。

「お休みの日に……デート、したいなって」

 かわいいお願いに、鼓動がトクンと鳴る。『もちろん』と即答してやりたかったが、外で琴里と会うことに危険がないかどうか少し不安で、俺は沈黙する。

「……ダメ、ですか? 別にどこかへ行きたいわけじゃなくて、近所の公園とかでもいいんです。私、お弁当を作ってもいいですし」

 そんな健気なことを言われたら、逆にどこへでも連れて行ってやりたくなる。

 舞鶴の監視の目はおそらく平日だけだろうし、遠出をすれば、その他の知り合いに会う確率も減る。なにより、俺も琴里とゆっくり過ごしたい。

「わかった。今月は上司に託された仕事が多くて無理かもしれないが、来月なら時間を取れると思う」
「ありがとうございます……!」
「でも、どうして急にデートがしたいなんて?」

 髪を撫でていた手を頬に移動させ、そっと撫でる。すると、そこに琴里が小さな手を重ね、俺の手を包み込んだ。

「……神馬さんのこと、本当は信頼したいのになかなか心の整理がつかなくて……少し別の環境であなたを見つめてみたいって思ったんです」
「琴里……」

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