冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
父親の真相を探るために、検事である俺を頼るか否か。彼女はずっと迷いを抱きながら俺のそばにいるのだ。
「……それと」
重ねられた彼女の手が、ふいに熱くなる。じっと見つめた先の彼女は、冗談っぽく笑った。
「家にいると、神馬さんを貫太郎に取られちゃうから」
意外な言葉に、俺は目を瞬いた。
確かに、俺は点けっぱなしのテレビであのドラマを流していることが多い。ひとり暮らしの時からのただの習慣で、真剣に見ている時もあれば、そうでない時も多い。
とくに、琴里が一緒にいる時の貫太郎は背景かBGMでしかないのに……。
「嫉妬したのか? ただのドラマに」
「ただのって……休憩中にスマホで見るほど好きじゃないですか」
「覗いたのか。あまり褒められた行動じゃないな」
「し、視界に入っただけです。それに、この部屋にだってDVDボックスがいっぱい――」
口を尖らせて貫太郎への嫉妬を口にする琴里がかわいすぎて、俺は気が付いたら布団の中で彼女を抱き寄せていた。それから甘い髪の香りを嗅ぎ、頭にそっと口づけする。
「きみが嫌なら全部捨てるよ」
そう言って顔を覗き込むと、琴里は真っ赤になって瞳を潤ませていた。
本当は抱きたくてたまらないが、理性を総動員して頬への口づけに留める。