冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

「なんだ、そうだったのか。……休日の朝から迷惑だな」
「ホントですよ、もう……。こうしていられるのもあと少しなのに」

 不安をごまかしたくて、スマホを裏返してテーブルに置く。そしてこれ以上彼を心配させないよう、彼のウエストにガバッと抱きついた。

「……朝ごはんの前に、お風呂に行きませんか?」
「それは一緒にって意味か?」
「ダ、ダメならいいです……」
「誰がそんなこと言ったんだよ。おいで」

 甘い微笑みを浮かべた鏡太郎さんに手を引かれ、脱衣所に着くとお互いの浴衣を脱がせ合う。

 軽く体を洗ったら、浴槽の中で期待通りの官能的なひとときが訪れた。たくさんの口づけも愛の言葉も、彼は昨夜と変わらない温度で注いでくれる。

 彼を受け入れた場所は、むしろ昨夜よりも熱く潤んで彼を求めていた。

「鏡太郎さん、もっと……もっと、ください」
「……ああ、言われなくても」

 鏡太郎さんだってまっすぐ私の欲求に応えてくれるのに、胸の中は不安でいっぱいだ。

『婚約者の真似事はさっさと辞めて、神馬鏡太郎とは絶縁することをお勧めする』

 機械を通したあの不気味な声が、私の中にある鏡太郎さんの姿をぼやかしてしまう。

 検事は決して悪じゃないと、彼なら信じさせてくれると思ったのに……やっぱり、本当は私や弟を騙していたの?

 父を陥れたのは、あなたなの――?

 問いかけることができない代わりに、その逞しい首にギュッと抱きつく。

 彼を疑っている一方、だからといって愛することもやめられなくて、つぶれそうな胸の痛みをごまかすために、私は何度もキスを求めた。

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