冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「……実は今日、神馬さんと会ってたんだ。その帰りに事故に遭った。友達と映画見るなんて、嘘ついてごめん」
「どうして、弓弦と鏡太郎さんが?」
ということは、彼が残業だと言ったのも嘘だったの? 理解が追いつかない。
「……俺から連絡したんだ。姉ちゃんの部屋に事件のファイルがあるのは知ってたから、会って渡す約束をした」
あれは弓弦が持ち出したんだ……。
ファイルがなくなっていたことには納得したものの、弓弦がどうしてそんなことをしたのかは、まだ見えてこない。
「どうして私に相談してくれなかったの?」
「それは……」
弓弦は言いにくそうに口ごもる。けれど、しばらくして傍らに置いていた自分のリュックを開けて、中のクリアファイルから小さな帯状の紙を取り出した。
何度も見たことがあったので、それがなんなのかはすぐにわかった。いつも定期テストの後でもらってくる、弓弦個人の点数や学年での順位を記した表だ。
一番上には【二学期中間テスト 個人成績】と書いてある。つい最近配られたたものだろう。
「えっ。どうしたの、これ」
一緒に住んでいた頃もテストの後は毎回見せてもらっていたけれど、その頃に比べて点数も順位もがくんと下がっていた。
赤点ではないけれど、どれも平均点スレスレ。数学に至っては平均点以下だった。こんなに悪い成績は初めてだ。