冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
弟が、正直な気持ちを包み隠さず打ち明けてくれたのはうれしい。だけど、鏡太郎さんが私を本当に大切に想ってくれているかどうかは、この期に及んでまだわからない。
彼が身を挺して弓弦を助けてくれたのは紛れもない事実なのに、本人の口から事情を聞けていないせいか、素直に感謝の気持ちを持てない。
すぐに職場に戻ってしまったのは、本当に仕事が理由なのだろうか。
弓弦から事件の情報を受け取ることができたから、私はもうお役御免……なんてこと、ないよね?
静かに悩んでいると、看護師が戻ってくる。そして会計の処理や、けがの治り具合を確かめるためもう一度だけ通院することなどの説明を受ける。
すべてが終わって病院を出る頃にはどっと疲れていた。
弓弦がけが人だし帰りもタクシーを使うことにして、車に乗り込むなり気だるい体をシートに深く沈める。
「そういえば、ご飯作りに来てくれたんだよな。こんなことになってごめん」
「あ、そっか。今から帰ってご飯作る気力ないなと思ったけど、さっき作ったのが冷蔵庫にあるんだった。よかった……」
ホッと息をついたその時、バッグの中でスマホが鳴りだした。
「神馬さんじゃん? 仕事、終わったのかも」
弟が冷やかすように言うので、とても出ずらい。でも、タイミング的には確かに彼っぽい気もする。
仕事の用事が終わって、ようやく私に事情を説明できる状態になったのかな。