冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

「聞き耳立てないでよ?」
「はいはい」

 弓弦は座る位置を少し横にずらし、窓の方を向いた。自分を落ち着かせるように深呼吸をしてから、スマホをバッグから出してみる。

 ――が、神馬さんからの着信ではなかった。

 画面に表示されているのは、非通知設定の文字。

 相手が誰なのかいまだにわからないけれど、無視したらしたで後から気になってしまいそうで、今回もこわごわ出てみることにした。

「……はい」
『弟が無事でよかったな』

 あの時と同じ、ボイスチェンジャーの声が恐ろしいセリフを口にし、体中の肌が粟立った。

 まるで、事故のことを知っているような言い方だ。

「あの……ご用件は?」
『あれはただの事故じゃない』
「……えっ?」
『一度忠告してやったにもかかわらず、神馬鏡太郎と別れないから弟が危ない目に遭うんだ。次があれば、怪我で済む保証はない』

 残酷な言葉にぞくりとする。

 次って……また、弓弦の身になにか起きるってこと?

 恐ろしくて、問いかけたいのに声にならない。

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