冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「私は、どうすれば……?」
『勘違いしないでほしいが、私はお前たち姉弟の味方だ。検察の癌である神馬鏡太郎のそばにいれば、誰であろうと危険が伴う。そこから遠ざかるには、物理的に距離を置くしかない。あの男と別れた方が身のためだと、そう言っている』
鏡太郎さんが、検察の癌?
確かに、恨まれることは多いと言っていたけれど……じゃあ、この電話は彼を恨んでいる人物がかけている? 味方だなんてまったく信用できないけれど、嘘とも断定できない。
「……姉ちゃん、平気?」
私の異変に気づいたのだろう。弓弦が心配そうに小声で尋ねてきた。
ハッと我に返った私は、気を取り直したように笑顔と頷きを返した。
「あの、直接お会いすることはできませんか……? もっとちゃんとお話を伺いたくて」
『構わない。ただし、会うのはお前ひとりだ。弟を付き添わせるのは許さない』
それは、弓弦を警戒してるってことなんだろうか。高校生とはいえ、力のある男性だから? それとも、単に自分の姿を見られたくないだけ……?
「はい、大丈夫です」
『――準備ができたら場所を指定する』
そこで通話は途切れ、張り詰めていた緊張感がようやくほどけた。
とはいえ、気を抜いている場合ではない。怪しい人物と接触する約束をしたのだ。あらゆる危険を想定して、武器になりそうなものを持参した方がいいかもしれない。