冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
昨今の物価高は家計に大打撃で、加えて弓弦は来年から受験生。今は塾や予備校に行かずにしのいでいるが、目指しているのは国立大学の法学部。
やはりきちんと受験のノウハウを知っている先生のもとで勉強させてあげたい。その費用を捻出するには、仕事を増やすか変えるしかない。
そこで目に留まったのが、コンセプトカフェの求人。いわゆる、コンカフェと呼ばれている飲食店の接客スタッフだ。
テーマの決まった色々な衣装に身を包み、その世界観に合う接客が求められるとあって、普通のカフェよりは飛び込むのに勇気がいる。けれど、ガールズバーやキャバクラよりはハードルが低い。
弓弦に相談したら絶対に反対されるだろうから、とりあえず応募だけしてみて、面接で詳しい話を聞けたらと思っている。
「応募完了……っと」
スマホで入力するだけなので、あっという間だ。返事は明日くらいだろうかと思っていると、すぐに折り返しのメールが届き、面接の候補日を提案される。
「そんなに人手不足なのかな……」
ちょっぴり不安になりつつ、スケジュールを確認する。
その後も先方とのやり取りはトントン拍子に進み、来週の金曜日に面接が決まった。