冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
強気なセリフに、こくんと頷く。弓弦ってば、本当に逞しくなっちゃった。
周りの同年代より少しお洒落できないくらいで落ち込んでいた自分が情けない。
「ホントだね。不幸ぶってちゃ、幸せを掴むチャンスも逃げるよね」
「そういうこと。……ちなみに腹減った。さっき素麺って言ったけど、唐揚げも温めていい?」
「もちろん。私も同じこと考えてた!」
プレゼントはいったん部屋に置き、弓弦と一緒に狭いキッチンで夕食の準備をする。
弓弦は私に良縁が巡ってくるよう願っているみたいだけれど、私は今の穏やかな暮らしをもう少し続けたいな。
弟に『ブラコン』と思われたくないから黙っていたけれど、それが正直な気持ちだった。
夕食とお風呂を済ませた後、弓弦はダイニングで再び勉強タイムに入る。部屋に机がないため、そこが定位置なのだ。
私は邪魔にならないよう自分の部屋へ引っ込み、ベッドに寝転がりながらスマホで求人サイトを眺めていた。
【時給三千円】という魅力的な条件に、心が揺らぐ。