冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

「琴里?」

 名前を呼びながら、リビングダイニングに繋がるドアを開ける。しかし、部屋は静まり返っていた。彼女がいる気配もない。

 だとしたら、この香りはどうして――。

 自問自答しながら室内に足を進めると、ダイニングテーブルに一枚の便箋と茶封筒が乗っていることに気づく。明らかに、朝はなかったものだ。

 怪訝に思いながらテーブルに近づいていく。

 便せんになにか書いてある……?

 手を伸ばし、紙を手に取る。目を凝らして文字を追ううち、それが別れを告げる手紙だと気づく。俺はハッとして、ポケットからスマホを出し彼女の番号に電話を掛ける。

 案の定繋がらなくなっており、念のため弓弦くんの番号にもかけてみても、『おかけになった電話は……』という無情な自動音声が流れるだけだった。

 俺からの着信はブロックされているのだろう。

 琴里の気持ちは残された手紙で推し量るしかなくなった。改めて便せんに視線を落とす。琴里らしい、愛らしい丸文字が並んでいる。

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