冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

 翌年の七月に、私は帝王切開で無事、男女の双子を出産した。幸い母子ともに健康で、先に取り上げてもらった長男を(かい)、長女を(ゆい)と名付けた。

 予想はしていたけれど、双子育児は本当に壮絶。毎日朝からの授乳、オムツ変え、哺乳瓶の洗浄、消毒がすべてふたりぶんで、泣き声も当然二倍。

 ゆっくり食事をする時間は当然ないし、なんならトイレに座っている暇もない。

 予防接種のスケジュールはめまぐるしいし、育児の傍ら、産休明けに復職できるよう保活も始めなければならず、頭も体も爆発しそうなほどフル回転だった。

 受験生の弟にはあまり頼るまいと決めていたが、弟が学校から帰ってくると、ワンオペから解放される安心感で胸がいっぱいになり、その存在が神のように思えた。

 弓弦は双子を溺愛していたので、勉強の傍ら双子の面倒を見てくれて、結局塾や予備校に通わないまま、本命である国立大学の試験に臨んだ。

 本人よりも私の方が合格できるかハラハラしてしまったが、前期日程の合格発表が三月の上旬にあり、弓弦は無事に桜を咲かせた。


 それから二日後の土曜日。午後六時頃、私はひとりでレストランにいた。前に一度、梓とランチをしたピザの美味しい店だ。

 弓弦の合格祝いにピザをテイクアウトしに来たわけではない。どうやら私はちょっと色々限界で、ひとりになる時間が必要だったみたいなのだ。

 気づいてくれたのは、親友の梓だ。

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