冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
とうとう、認めてしまった……。
正しい判断だったか自信はないけれど、確実にホッとしている自分もいた。
嘘をつくのは苦手なのだ。そしてそのことはきっと、彼もよく知っている。
「……琴里。これまで何度も言ったと思うが、忘れているようだからもう一度言う。きみはもっとワガママになるべきだ。欲しいものは欲しいと言えばいい」
初めて彼がそう言ってくれた時、自分がなんと言ったのかよく覚えている。
彼を困らせるとわかっていて、父の無罪判決、と言ったのだ。
でもきっと、それは近いうちに叶えられる。だったら、私が欲しいものは――。
顔を上げ、鏡太郎さんの目を真っすぐに見つめる。
「もう一度……あなたとやり直す権利をください」
涙交じりのかすれた声だったけれど、自分の本音をようやく口にした。
結を抱いたままの鏡太郎さんが、同じように開を抱いている私にそっと寄り添う。
「……ああ。喜んで」
優しく微笑んだ鏡太郎さんが、傾けた顔を近づけてくる。
私はそっと目を閉じて、涙の味が混ざった温かい口づけを受け止めた。