冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

 とうとう、認めてしまった……。

 正しい判断だったか自信はないけれど、確実にホッとしている自分もいた。

 嘘をつくのは苦手なのだ。そしてそのことはきっと、彼もよく知っている。

「……琴里。これまで何度も言ったと思うが、忘れているようだからもう一度言う。きみはもっとワガママになるべきだ。欲しいものは欲しいと言えばいい」

 初めて彼がそう言ってくれた時、自分がなんと言ったのかよく覚えている。

 彼を困らせるとわかっていて、父の無罪判決、と言ったのだ。

 でもきっと、それは近いうちに叶えられる。だったら、私が欲しいものは――。

 顔を上げ、鏡太郎さんの目を真っすぐに見つめる。

「もう一度……あなたとやり直す権利をください」

 涙交じりのかすれた声だったけれど、自分の本音をようやく口にした。

 結を抱いたままの鏡太郎さんが、同じように開を抱いている私にそっと寄り添う。

「……ああ。喜んで」

 優しく微笑んだ鏡太郎さんが、傾けた顔を近づけてくる。

 私はそっと目を閉じて、涙の味が混ざった温かい口づけを受け止めた。

< 199 / 211 >

この作品をシェア

pagetop