冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
特殊な職場なので最初は緊張したものの、働いてみれば一般企業の社員食堂の雰囲気とそう変わらない。
同僚たちがみんないい人なので居心地もよく、勤め始めて三カ月目も経つと、食堂をよく利用する人たちの嗜好もわかってきた。
検事の神馬さんが頼むメニューは曜日ごとに決まっていて、今日は火曜日だから、彼が頼むのはおそらく『塩サバ定食』。
日々やってくるお客さんの中でも彼はとくに冒険しないタイプで、これまで一度も新メニューや季節限定のメニューを頼んでくれたことがない。
しかし、新メニューが出た時はできるだけ多くのお客さんにそれを試してほしいのが私たちの本音。だから今日は七月から提供を始めた『旨さ殺人罪・カオマンガイ』をおススメすると決めている。
カオマンガイとは東南アジアの屋台などでよく食べられる料理で、鶏のスープで茹でたご飯にたっぷりの茹で鶏と甘辛いタレ、そこにパクチーやキュウリが添えてあるのが一般的。
この食堂では鶏肉とご飯を一緒に炊き出汁をたっぷり米に吸わせているのと、途中で味変できるよう、くし型に切ったレモンを添えているのが特徴だ。