冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「今日は面接だけじゃなかったのか?」
「えっ? どうして知ってるんですか?」
「食堂のやかましいふたりから聞いた。彼女たち心配していたぞ。きみの身に危険が迫るんじゃないかって」
やかましいふたり……紅林さんと白浜さん?
「彼女たちに頼まれてここへ?」
「そうだ。でも、理由はそれだけじゃない。きみに確かめたいことがある」
神馬さんが私に……? まったく思い当たる節がないけれど。
「その前に店に案内してくれ。責任者と話して、きみとの面接はなかったことにしてもらう」
「いえっ。自分でお断りしてきます! さすがにさっきので懲りたというか……こういうお店は自分に合ってないとわかったので」
同じ接客業でも、コンカフェと一般のカフェでは全く違うのだというのが身に染みた。
いくら時給がよくても、私にはできない。店長にもハッキリそう伝えるつもりだ。
「それできみが理不尽な目に遭ったら寝覚めが悪い。こういった店のバックには裏社会の人間が関わっていることも多いから、辞めようとすると強引に引き留められる可能性がある」
「裏社会……?」
さすがにそこまでは想定していなかったので、驚きで目を見開く。その反応を見た神馬さんは、軽くため息をついた。