冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「遠慮する。この間も変な料理はいらないと言ったはずだ。確か『蓮根シャクシャク保釈カレー』だったか?」
彼の言う通り、先月も私は新メニューを勧めた。
神馬さんの注文は通常メニューのカレーだったが、新メニューの試作に使った蓮根の素揚げが余っていたので、カレーとは別の皿にのせてサービスで提供したのだ。すると、彼はすぐに蓮根の皿を突き返しに来た。
『……こんなものを注文した覚えはない』
『蓮根、お嫌いでした?』
『好きでも嫌いでもないが、注文してないものを勝手につけられるのは気分が悪い』
……そっか、そういう人もいるよね。
申し訳なく思う反面、そこまで言わなくても、と少々ムッとした。
元々検事という職業に敵意を抱いていたので、やっぱり検事って嫌なやつかも、と心の中だけで呟く。
しかし、許可を得ずに勝手なことをしたのは自分なので、蓮根の皿を受け取って素直に謝った。
『すみませんでした。今度、『蓮根シャクシャク保釈カレー』という名前で、カレーに直接この素揚げが乗ったメニューが始まりますので、その時はよかったら――』
『食べない。この不愉快なやり取りを思い出しそうだからな。きみたちは注文されたものをただ作って出せばいい。変な料理を勧めるのはやめてくれ』
ふ、不愉快なやり取りって……。
最後に絶対零度の眼差しで私を睨みつけ、神馬さんは席に戻ってカレーを食べ始める。