冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
父の事件を調べたいと話した時の彼はまるでこちらの味方であるかのように話していたけれど、本当は逆。食堂で働く私が自分が冤罪にした村雨奏二の娘であると知って、怖くなったのかもしれない。
これ以上過去の事件を嗅ぎまわられないよう、弟の学費を出すことで恩を売って、私を婚約者としてそばに置き、その行動を監視する。
もしくは、脅して口封じしようとしてるとか……?
「ちなみにその人イケメン?」
「えっ? あぁ……うん。顔は俳優より整ってるかも。背も高いし」
不本意ながら事実なのでそう答えると、梓は納得顔でふむふむ頷いた。
「だから結婚なんてカード使って来るんじゃない? 逆ハニートラップって言うかさ」
「逆ハニートラップ?」
「そう。婚約者のふりをしている間にとにかく琴里を甘やかして自分に夢中にさせて、事件のこと有耶無耶にする作戦とか」
梓の言っていることは理解できたけれど、神馬さんの人柄でそれはないだろう。あの人が女性に対して歯の浮くような甘いセリフを口にするところなんて、どう頑張っても想像できない。
「いや、それはさすがに……。下心はないって宣言してたし」
「警戒されないように演技してるんじゃなくて?」
「うーん、そこまではわからない」