冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

「え~、めっちゃ健気~。で、その効果のほどは?」

 少し前までの私なら、そんなのあるわけないじゃん、と笑い飛ばせただろう。

 でも、昨夜起きたイレギュラーな出来事のせいで、なにもなかったとは言えない。

「効果があったって言っていいのかな……。職場で会う人に、ちょっと訳ありの求婚されたんだよね」

 ボソッと呟いて、梓の反応を伺う。

 梓はテーブルに身を乗り出し、元々ぱっちりとした目を大きく見開いた。

「ちょっと待って、なにそれ」

 そりゃ驚くよね……。私は苦笑を浮かべつつ、つい昨夜あった出来事について、順を追って梓に説明した。

 最初は興奮気味だった梓も、相手の職業が検事である上父の事件について調べているらしいと知ると、表情を曇らせた。間もなく届いたピザにも手をつけず、難しい顔で腕を組んでいる。

「その検事さん、謎だね。いくら上司からのお見合い話断ったからって、琴里に求婚する理由にはならない気がする。お父さんの事件に後ろめたいことでもあるのかな」
「やっぱりそう思う? その上弟の学費まで出そうとしてくれてるなんて……裏があるとしか思えないよね」
「うん。担当検事でなくても、琴里のお父さんを冤罪に陥れるためのなにかに関わってたのかな。それがバレるのが怖くて、琴里を自分のテリトリーで監視しようとしてるとか」

 ……神馬さんが、父を? 確かに、あり得なくはない話だ。

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