冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
私と神馬さん、そして梓の三人という妙なメンバーでの顔合わせは二週間後の日曜日に決まった。
野菜をもらいに行く時は私が出向くことが多いけれど、今回は梓が久々に都会の雰囲気を味わいたいと言うので、こちらへ来てもらい一緒にランチすることに。
店の予約は神馬さんが済ませてくれて、費用もすべて彼持ち。電話で話した時に悪いから払うと言ったのに、『そのぶん弟さんの将来のために使え』と言われると、それ以上食い下がることはできなかった。
当日は正午に現地の和食レストラン集合だったのだけれど、私は疲れがたまっていたのか寝坊して、時間ギリギリになってしまった。
店に到着し個室に案内された時には、すでに梓と神馬さんがテーブルを挟んで向き合っていた。
ネイビーのセットアップにシンプルな白いTシャツを合わせている神馬さんの私服姿は、なんだか見慣れない。
梓はノースリーブのアンサンブルニットに綺麗なプレスの入ったパンツとこちらもシンプルかつ洗練されたファッションで、こうして見てると美男美女のふたりはカップルのよう。
出勤の時と変わらない着古したロングシャツにカーゴパンツ、サンダルという軽装の私はなんとなく気後れしてしまう。
ふたりに声を掛けられずにいたら、梓が怖い顔で神馬さんを睨みつけた。
「琴里が来たのでもう一度伺わせていただきます。琴里を偽装婚約者に選んだ理由に、本当に後ろめたいことはひとつもないんですね?」