冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

「じゃ、一緒に温かいお茶をもらおうか。俺は車だから、帰りはふたりとも責任をもって送ります」
「いえいえ、私はお邪魔になっちゃうし、久々の都会を少しウロウロしたいので琴里だけ送ってあげてください」

 えっ。私だけ神馬さんに送ってもらうなんて、気まずい……!

「そうですか。じゃあ――」
「私もお気遣いなく! ひとりで帰れますから!」

 顔の前で手のひらをぶんぶん振ったその時、靴の先にこつんとなにかが当たる。反射的にテーブルの下を覗いたら、神馬さんの革靴が私のパンプスを軽く蹴っていた。

 顔を上げたら一瞬だけじろりと睨まれ、すぐに彼はまた猫をかぶったような微笑みを口元に浮かべる。

「琴里さん、心配だから送らせて」
「いえ、お構いなく――」

 言いかけている途中で、また蹴られた。思わず神馬さんを睨みつけると、彼もまた〝イエスと言え〟というような圧のこもった視線を送ってくる。

 なんでよ! ひとりで帰りたいのに!

「もう、ふたりとも私がいるのに見つめ合わないでよ~」

 にらみ合う私たちを見て、梓が噴き出した。冷やかすような言い方に不本意にも頬が熱くなる。

「いや別に、見つめ合ってるわけじゃ……」
「これは失礼。琴里さんを見つめるのは帰りのドライブまでおあずけにします。というわけだから、覚悟しておいてね、琴里さん」
「……はぁ」

< 62 / 211 >

この作品をシェア

pagetop