冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

 予想は的中し、食事の間中私は猫かぶりの神馬さんとハイテンションな友人に振り回されたおかげで、帰る頃にはぐったりしていた。

 梓と別れた後は送ってくれるという神馬さんの申し出を改めて断る気力もなく、レストラン近くのパーキングに停まっていた彼の車の助手席に、言われるがまま乗り込む。

「自宅の住所は?」

 運転席の神馬さんが淡々と尋ねてくる。その横顔には一ミリの愛想もなく、やっぱり食事中は梓を欺くためにお芝居をしていたのだと納得した。

「……よかった、いつもの神馬さんだ」

 思わず、そんな言葉とともに笑みがこぼれた。神馬さんが煩わしそうな目でこちらを一瞥する。

 睨まれているのに、その冷ややかな眼差しさえ懐かしくて、やっぱり笑いがこらえられない。

「日本語がわからないのか? じ、た、く、の、じゅ、う、しょ」
「はいはい、今言いますよ」

 これ以上叱られないように慌てて住所を告げ、そのまま神馬さんの運転に身を委ねる。

 細い路地から大通りに出たところで、彼が口を開く。

「さて、きみの友人は俺たちの婚約に賛成してくれているようだがどうする?」
「賛成って……神馬さんがそう仕向けたんじゃないんですか。おまんじゅうまで用意して」
「きみもまんじゅうが欲しかったのか?」
「違います!」

 ムキになって否定すると、神馬さんが鼻で笑う。その態度には腹が立つけれど、さっきまでの似合わないニコニコ顔よりはまだましだ。

 たぶんこっちが本当の彼だから。

「……悪いとは思っている」
「えっ?」

 運転席からボソッと聞こえた言葉に耳を疑う。

 今、悪いと思ってるって言った……?

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