冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
業務用グリルでじっくりサバを加熱し、皮目にこんがりと焼き色がついたところで皿にのせる。
サバの脇に白浜さんが生の大葉と大根おろしを添え、皿をトレーに乗せたところで、紅林さんがごはんと味噌汁、切り干し大根の小鉢を添える。
見事なチームワークで塩サバ定食の完成だ。
神馬さんを呼んでトレーを渡したものの、彼は目も合わせてくれない。検事である彼を敵対視する気持ちがますます強まって、次回も絶対新メニューを勧めてやるんだから、と心の中で舌を出した。
次にやってきたお客さんは、胸に向日葵のバッジをつけた若い男性弁護士だった。
それほど機会は多くないものの、被疑者との接見などのために訪れた弁護士が食堂を利用することもままあるのだ。
「この、旨さ殺人罪・カオマンガイをお願いします」
男性弁護士が、朗らかに笑って食券を渡してくれる。
「お兄ちゃん、見る目あるわね~」
「アンタの担当する裁判ではきっと無罪もぎ取れるわよ」
根拠もなく調子のいいことを言う紅白おば……いや、婦人たちに臆せず、男性弁護士は「はは、ありがとうございます」と爽やかに歯を見せて笑う。誰かさんとは対応が大違いだ。
弟の弓弦も、彼のような弁護士なってほしいな。そのために、昼も夜も働いているんだもの。
現在高校二年生の弟を法学部に行かせ、立派な弁護士にする。そしていつか、父の冤罪を晴らす――。
それこそが、私の目標であり生きる意味だから。