冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

 シフトは日によって何パターンかあるけれど、今日は午後四時に上がる日だった。夕方と呼べる時間なのに頭上の太陽はうっとうしいほど輝いていて、暑さが収まる気配はない。  

 職場ですぐ着替えるので、通勤がカジュアルな服装で済むのは助かっている。ラフすぎて、勤め始めた頃は庁舎に入る許可証を持っているにもかかわらず、守衛に止められたりもした。

 今ではさすがに顔を覚えてもらえたので、白のロングシャツにデニム、スポーツサンダルという軽装でも問題なく庁舎を出ることができた。

 今日は夜のバイトがない日だから、少しのんびりしようっと。

 霞が関から電車と地下鉄を乗り継いで三十分、最寄り駅からは徒歩十分の古いアパートに帰ると、先に帰っていた弟の弓弦がダイニングで勉強していた。

  我が家は2DKなので、玄関を入ってすぐキッチンとダイニングがあり、あとはそれぞれの寝室と、バストイレのみ。

 身長156センチの私をあっという間に追い越し、現在178センチもある弓弦には少し狭いだろう。でも、弟は不平も不満も口にしない。それどころか、率先して家計の節約を考えてくれている。

 今も冷房をつけずに扇風機だけで過ごしていたようで、ひと目で汗だくだとわかった。

 我慢させてしまっているな……という罪悪感がこみ上げ、胸がキュッと痛む。

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