冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

「神馬さん、すみませんっ……。どうしても、シャワーに手が届かなくて」
「ああ、すまない。きみの身長では高すぎるよな――」

 言いながら振り向いて、ぎょっとする。彼女は裸にバスタオルを巻きつけただけの無防備な姿で、眉を八の字にしていた。

 おそらく、裸になってしまってからシャワーの問題に気づき、服を着直すのが億劫だったのだろう。

 頭では理解できるが、初めて泊まりに来た男の部屋ですることではない。彼女の警戒心のなさに呆れてしまう。


 普段からソファにかけてある薄手のタオルケットを手に取った俺は、彼女の元までスタスタ歩いていくと、頭からバサッと被せて言った。

「わっ」
「……その格好、検事には性欲がないとでも思っているのか?」
「えっ?」

 琴里はきょとんとした後、自分の姿を見下ろして頬を赤らめた。俺が無造作にかけたタオルケットを体にまき直し、気まずそうに上目遣いをする。

「すみません、迷ったんですけど……服を着るのが面倒だったのと、前に下心はないから安全って言ってたので、きっとなんとも思われないだろうと」

 ごにょごにょと言い訳され、確かにそんなこと言ったな……と過去の自分の発言を後悔する。

 あの時は確かに手を出す気などなかったが、撤回した方がよさそうだ。

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