大好きな君と、初恋の続きを
初恋の続きはロード中
すっかり枯れたと思っていた甘く切ない初恋が、息を吹き返そうとしている。けれど、単純に想いを加速させるわけにはいかない。
大人になってから、新涼くんが私に近づいた理由は姉だったとしても、もしかしたら本当に好きになってくれていたのかもしれないと思うこともあった。
だとしても、あれから八年も経っているのに、彼が今も同じ気持ちでいるなんてことはまずありえない。『芦ヶ谷だけは特別だった』と、過去形になっているのがその証拠だ。
こうして私と話しているのも、ただあの頃のわだかまりをなくしてすっきりさせたいだけなのだろう。
私も、ずっと気にはなっていた。あの時見せた、悲しい顔の意味が。
今ならどんな答えでも受け止められる気がするし、そうすれば彼と過ごした日々の思い出をもっといいものにできるんじゃないだろうか。
指に刺さったままの小さな棘みたいな、煩わしさを解消できるのは今しかないのではないかと、私は決心してぱっと顔を上げる。
「新涼くん、私──」
口を開いたその時、道路沿いに並んでいた私たちの横へ、汚れひとつない真っ白な高級車がやってきて静かに停車した。
運転席のウィンドウが下がり、緩く波打つ長めの髪がセクシーな男性が顔を覗かせる。