君の鼓動を、もう一度
病室は、夜の静けさに包まれていた。
ICUのモニターが規則正しいリズムを刻むたび、悠斗の胸に静かな安堵が広がっていく。

「……美咲」

その名を呼んだのは、どれだけぶりだっただろう。
こんなふうに、感情を隠さず、誰かの名前を呼ぶなんて。

瞼がかすかに動いた。まるで、それに応えるかのように。

「……っ、ゆ…うと……?」

掠れた声が、確かに届いた。
目を細めてこちらを見た美咲の瞳には、まだぼんやりとした光が揺れていたけれど――
その中に、確かに生きている彼女がいた。

悠斗は震える手で、美咲の手をそっと包み込む。

「……間に合った。お前を、ちゃんとこの手で救えた」
「……うそ、みたい。生きてる……」

美咲の瞳に、ぽたりと涙が落ちた。

「完治じゃない。けど……延命のための処置は成功した。君は、まだここにいられる」
「……そっか」
「これからは、限りある時間を、ちゃんと一緒に過ごしたい」
「……うん……そうだね……」

しばらくの沈黙の中、二人はただ手を繋いでいた。
何も言わずとも、伝わる想いがそこにあった。
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