ふたりだけのオーキッド・ラグーン
 さらに夫は続けていう。
 「あいつ、総務部ではちょっとお堅いところがあるから、ざっくばらに話しできる友人は少ないと思う」

 そういわれると、確かに鎌田女史は『頼れるお姉さん』という雰囲気である。逆にいえば、人前で弱音を吐くことが難しいキャラかもとしれない。

 「といことで、真紘、いってくるよ。お礼だけど、週末に一緒に探しにいこう」

 時間がやってきて、いつものように瑠樹は出勤していった。





 そうして、鎌田女史がやってくる。 実はこれ、瑠樹の推測どおりで彼の母親、良子に頼まれたのふたりの新婚生活の偵察であるのだ。もちろん真紘は、そんなこと全然知らない。

 瑠樹と一緒に用意した手土産とともに、鎌田女史の訪問を待つ。訪問当日は平日で、瑠樹は出勤中。真紘ひとりでの対応となった。

 (これって家を守る妻の仕事よね ) 
 (相手が鎌田さんっていうのはわかってるけど、それでもドキドキするな)

 やってきた鎌田女史は、相変わらずのスレンダーなスタイルでキビキビとした動き。真紘のように移動途中で体調を壊したりなんかはしていない。

 「お久しぶりです。どうかしら、瑠樹さんとは仲良くやってるのかしら?」
 「鎌田さん、お久しぶりです。渡航前に色々お世話になっただけでなく、お花もありがとうございました。今回もこうやって訪問していただけるなんて嬉しいです。瑠樹さんとは、まあなんとか、うまくやっています」
 「それはそれは、良かったわ。実はね、私も結婚したのよ」

 事前に瑠樹から鎌田女史の情報を知っていたとはいえ、本人から結婚報告をきくと嬉しくなる。
 どうぞどうぞと、真紘は鎌田女史をリビングへ案内した。




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