一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む

　その解答を耳にした私は、自分が言われたわけでもないのに。
　酷く落ち込んでしまう。

　ーーそう、だよね。
　関宮先輩は、かっこいいし……。
　彼の周りにいる女性が、放っておくわけがない。

　ーー彼女がいるのは、当たり前だった。

　関宮先輩と自分が結ばれる光景を一瞬でも脳裏に思い描いた自分が、恥ずかしくて仕方ない。

　ーー彼に叶わぬ恋心を抱いたところで、苦しい想いをするだけだ。
　早くその気持ちを、捨てなければ。

　それができないなら、心の奥底に沈めて見ないふりをしないとーー壊れてしまいそうだった。

「陽日ちゃん！」
「いらっしゃいませー！」

　妹と先輩の間に、不穏な空気が流れる中。
　常連客が陽日さんとの会話を楽しむため、カフェ宇多見に姿を見せた。

「いつもありがとうございます！」
「今日もかわいいね」
「えへへっ」

　笑顔で接客を始めた彼女の姿を横目で確認した彼は、やっと席を立つ。

　ーーあの子はお客様とのおしゃべりに夢中だし……。
　手が開いてるのは、私しかいない。