一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
 ーーあの時、香月先輩が助けてくれなかったら。
 きっとこうして想いを通じ合わせ、夫婦になる未来など描けなかった。

 ーー香月先輩は私の、ヒーローだ。

「香月先輩」

 人が行き交う従来で口づけるのはよくないと、わかっているからこそ。

 家に帰ってからと約束したはずだったのにーー香月先輩に対する愛が、溢れて止まらず、待ちきれなくなってしまった。

 歩行者信号が赤になったタイミングを見計らい、声をかければ。
 足を止めた彼が、私の瞳を見つめて微笑んだ。

「星奈さん。俺の妻になってくれて、本当にありがとう」
「い、いえ……。お礼を言わなければいけないのは、私の方で……!」

 焦った私が左手を振りながら顔を上げれば、タイミングを見計らった彼からキスの雨が振ってきた。
 触れ合うだけの口づけが、何度も角度を変えて行われる。
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