一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「コーヒー、持って来て」
「はぁーい! あたしのスペシャルな愛の詰まったブレンドコーヒーをお持ちしまーす!」
彼は間近でキャンキャンと吠える犬や猫のような陽日さんが、目障りで仕方ないのだろう。
露骨に顔を顰めながら、妹へ空になったコーヒーカップを差し出した。
関宮先輩に背を向けた妹は、私を睨みつけてから厨房に向かって去っていく。
ーー私が散々妹から酷い目に合わされてきたことは、彼も知っているから。
今のところは、彼女のいる前でこちらに愛を囁いたりはしてこないが……。
このまま私が彼の告白を有耶無耶にし続けていれば、あの子が言い寄る前に先制攻撃を仕掛けそうだ。
ーーカフェ宇多見で大乱闘が起きるのは、時間の問題かもしれない……。
「あの、」
完全に席を離れるタイミングを失った私が、彼に一言断ってから厨房へ戻ろうとした時だ。
テーブルの上に行儀悪く肘をついて頬杖をしていた関宮先輩が、私に話しかけてきたのは。
「俺はずっと、見てるから」
妹の前では不機嫌なのを隠す様子すら見せない彼は、いつだって私に声をかける時だけは口元を綻ばせて嬉しそうにしている。
「はぁーい! あたしのスペシャルな愛の詰まったブレンドコーヒーをお持ちしまーす!」
彼は間近でキャンキャンと吠える犬や猫のような陽日さんが、目障りで仕方ないのだろう。
露骨に顔を顰めながら、妹へ空になったコーヒーカップを差し出した。
関宮先輩に背を向けた妹は、私を睨みつけてから厨房に向かって去っていく。
ーー私が散々妹から酷い目に合わされてきたことは、彼も知っているから。
今のところは、彼女のいる前でこちらに愛を囁いたりはしてこないが……。
このまま私が彼の告白を有耶無耶にし続けていれば、あの子が言い寄る前に先制攻撃を仕掛けそうだ。
ーーカフェ宇多見で大乱闘が起きるのは、時間の問題かもしれない……。
「あの、」
完全に席を離れるタイミングを失った私が、彼に一言断ってから厨房へ戻ろうとした時だ。
テーブルの上に行儀悪く肘をついて頬杖をしていた関宮先輩が、私に話しかけてきたのは。
「俺はずっと、見てるから」
妹の前では不機嫌なのを隠す様子すら見せない彼は、いつだって私に声をかける時だけは口元を綻ばせて嬉しそうにしている。