敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
彼女の本当の美しさを知るのは、きっと世界で俺だけ。そんな優越感が湧き上がる。

彼女の魅力を多くの人間に知ってもらいたいと同時に、他人に晒さず隠しておきたい気持ちもあって複雑だ。

独占したいと願うこの感覚は恋なのだろうか?

彼女だけでなく俺自身、探り探りのまま、ふたりきりのひっそりとした古民家生活が続く。

三週間が過ぎた頃、添い寝する主人公たちの情感を掴んでもらうために、彼女をすぐそばに招いた。

「なにもしないと約束するから。おいで」

緊張した面持ちで俺の隣に横たわる彼女。その頬が赤く染まっていくのを見て、自分まで主人公に尽き従う〝彼〟になった気持ちで、やるせなさをかみしめる。

こんなにそばにいるのに触れられない。なんてもどかしさだろう。

ちょいと指先で服を掴まれた瞬間、暴力的なまでの愛らしさにこれまで感じたことのないような庇護欲が湧き上がる。

……かわいいがすぎる……!

隣に横たわる彼女に触れてしまいたくてうずうずする。我欲を捨てろと自身に言い聞かせ、平静を保った。

「――〝彼〟は一途で真面目な男だから、乱れたりはしないんだろうけれど。イチ男としては、理性の限界だったと推測するよ」
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