敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません！～干物女な小説家は容赦なく激愛される～

まさか私をパーティーに誘い出すために湾先生を登壇させるなんて、とんでもない男だ。

「わかりました、出席します。……とはいえ、会いたくない人もいるんですよねえ……立ち振る舞いに気をつけなくちゃならないし」

人前で完璧な石楠花みどりを演じなくてはと思うと少々憂鬱だ。出席者の中には苦手な人もいる。

すると、誓野さんがミトンを置いてこちらにやってきた。

「〝会いたくない方〟に関しては、絡まれたりしないようフォローしますので安心してください。俺が担当として片時も離れずそばにいるので」

力強く言って自身の胸に手をあてる彼。

もしかして、私が苦手なあの作家さんのことも知っているのだろうか。

吉川さんから事情を聞いていても不思議ではない。私を男性不信にしたあの人のことを。

「……でしたら、お願いしてもいいですか？」

「はい。必ずお守りします」

自信に満ちた言葉を聞いて心が軽くなった。彼がそばにいてくれるのなら、きっと大丈夫。

「お任せします」

そうお願いして頭を下げる。心の拠り所があれば不安なひとときも乗り越えられる気がした。