敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「本当? 嬉しいな。今日はみどりさんが来るって聞いたから、新しいスーツをおろしたんだ。この数年、忙しくて授賞式に参加できなかったんだろう? 会えなくて寂しかったよ」

うふふふと笑って応じる。この数年、式を欠席していたのは、この人に会いたくなかったからだ。

彼に騙されてホテルに連れ込まれたのが約三年前のこと。

今と同じように授賞式で話しかけられ、作家歴が近かったこともあり話が弾んだ――振りをした。

だって彼のする話って流行りのスポットとかおいしいレストランとか車とかクルーザーとか、私が興味のないことばかりなんだもの。〝羅生門を考察しよう〟とか言ってくれたら意気投合するのに。

仕方なく彼の自慢っぽい話を「へー」「そうなんですか」「すごいですねー」と笑顔で連呼して切り抜けた。

しかし、気をよくした彼に後日、一緒に飲もうと誘われてしまった。

面倒に思いながらも先輩の誘いを無下にするのもよくないと思い呼び出しに応じると、バーで「弱いお酒だから大丈夫だよ」と言って飲まされたカクテルが思いのほか強くて酩酊状態に。

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