敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「仕方がないよ、売れっ子なのは見ていてわかるからね。家に缶詰めにされて見張られてるって話、聞いたよ。大変だったね」

おそらく吉川さんが彼からの誘いを断る口実にそんな噂を流したんだろう。私は「執筆に集中できてありがたい限りです」と笑顔で取り繕う。

「まったく、編集部は作家を金づるとしか思ってないんだから。君が新しい担当?」

そう言って神宮司先生が私のうしろにいる誓野さんを睨みつける。

「はい。誓野と申しま――」

「そんなに作家にべったりくっついていたら迷惑だと思わない? 彼女、いろんな作家とコミュニケーションを取るのも仕事の内なわけ」

挨拶を遮って、彼はしっしと振り払う仕草をする。

慌てて私は間に入って「いえ、私が付いてくださるようにお願いしているんです」と説明した。

さらに誓野さんが私を庇うように一歩前に踏み出し、神宮司さんとの間に立つ。

「石楠花先生には過激なファンの方もいらっしゃいますので。外出時は必ず担当をつける決まりになっておりまして」

「もしかしてストーカーでもいるの? まあ、天下の石楠花みどりだからね」

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