敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「立派なお着物を貸していただきありがとうございました。お母様に感謝をお伝えください」

「気にしないで、ぜひもらってくれ。うちの母は高齢だから、そんな華やかな色はもう似合わないんだ」

そう言って今度は誓野さん――息子に目を向ける。

「勇は、今日は石楠花先生の付き人として参加すると言っていたか。どうだ? きちんとボディガードを務められているか?」

誓野さんが参ったような顔で頭を下げる。

「情けないことに、先生にフォローしていただいてばかりで」

「しっかり務めてくれよ? 石楠花先生はうちを背負って立つ大事な人なんだから。……それにしても」

社長が誓野さんの肩を叩きながらにやりと笑う。

「さっき、役員の間で噂になっていたんだ。勇と石楠花先生の並ぶ様子があまりに似合いで、このまま結婚するんじゃないかとね。お前はこれまで浮いた話もなかっただろう、光栄なことじゃないか」

なにやら周囲からひそひそ言われているなあとは思っていたが、まさかそんな噂が。大変……青ざめる私をよそに、社長は腰を低くして言う。

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