敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
姿勢を正してお礼をすると、誓野さんは「伝えておきます」と緩やかな笑みをたたえた。

「それから髪も。セットしてくださって助かりました」

着物にあわせて誓野さんが髪を結い上げ、簪を挿してくれた。仕上がりも美しく、式の最中も乱れなかった。プロ級の腕前である。

「お役に立ててよかったです」

簪が挿せるように練習するとは言っていたが、まさに有言実行の男である。

「それに、約束通りずっとそばにいてくれてありがとうございました」

「いえ。父親に助け舟を出されるなんて情けない。担当失格です」

「誓野さん、格好よかったですよ」

神宮司先生のクレームに怯まず私を守ってくれた。それだけで充分嬉しかった。

彼はすっと目を逸らし、目もとを隠すように手を当てる。

……もしかしたら照れているのかもしれない。珍しい反応を見て、頬が緩む。

「でも、神宮司先生には嫌われちゃったかもしれませんね。大丈夫ですか? 編集部の人間が作家さんに嫌われたら、仕事がやりづらいのでは……」

「問題ありません。今、うちは神宮司先生に執筆を依頼していないそうですから」

「え? そうなんですか……」

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